湯沢市ジオパーク推進協議会は、秋田県湯沢市の「世界ジオパーク」認定登録に向けて、日々奮戦中です。
ゆざわジオパークのいろいろな情報や事務局の日々の感想をつづるブログです。

菅江真澄と歩く⑥ 「白く轟く川原毛地獄」

2013-02-22

 みなさま、こんにちは。
 湯沢市ジオパーク推進協議会事務局のミレーです。

 「菅江真澄と歩く」シリーズも6回目を迎えました。今回は、前回に引き続き「高松日記」から、一大景勝にしてゆざわジオパークにおいても大きな存在感を示す、「川原毛地獄」を取り上げます。
 ジオサイト「高松」には川原毛地獄以外にも、泥湯温泉湖沼群といった素敵なスポットが数多くあるのですが、そちらの紹介はまたの機会ということで。

 それではさっそく、菅江真澄の記述を見ていきましょう。
 彼が地獄で目にしたものとは……


  彌陀の浄土と名付たる処をよちのぼりて中野津といふを分け行くに、雪は斑に消へて、紅葉の梢ここかしこに
  あらわれたり。
  阿弥陀(あみだ)の浄土という名の場所を登って中野津というところを分け歩くと、雪はまだらに
  消えており、紅葉した木々の枝がそこかしこにあらわれた。


  綾錦を掛たらむと見わたす中に、劔の山といふ岩峯ぞ見へたる。
  立派な錦を着飾っているようだと見ていると、剣の山という岩山が見えた。

  路の弓手妻手に、鶴の嘴といふものして硫黄掘りぬ。
  道の左右では、“つるはし”というものを使って硫黄を掘っていた。

  賽の川原といへる処もやや過て、劔の山のそびらとおぼしくて大釜といふあり。
  賽の川原という所を通り過ぎて、剣の山の背後と思われる場所に“大釜”という所がある。

(賽の川原・この池はかつての硫黄鉱山の跡だそうです)kawaragejigoku5.jpg
  
  そは雷のおちくべう山もとどろに鳴とよみ、いとおほらかに火の色しろじろと高くもえあがり雲となり、
  麓は霧とたちこみて山路くらく、石硫黄火音は霹靂するにことならず、いといと恐きところ也。
  そこでは雷が落ちるかのごとく山全体が鳴り響き、巨大な炎が白く高く燃え上がって雲となり、
  ふもとで霧のように立ち込めて山道は視界が悪く、硫黄が燃える音はまさに雷鳴そのものであり、
  なんとも恐ろしい所である。


(大釜)kawaragejigoku1.jpg

  八万地獄とて火井(ひのあな)二つありて高く燃えあがる、其火の色白く風に鳴り谷にひびきわたりて、
  冷しく恐し。
  八万地獄という所では火を噴く穴が二つあって高く燃え上がっている。その火の色は白く、
  谷間に音を鳴り響かせており、恐怖を感じる。


(八万地獄)kawaragejigoku2.jpg


 紅葉を抜けた先で見た恐るべき光景……
 菅江真澄は噴気の様子を、「白い炎が高々と燃え上がる」と表現しています。いわゆる普通の、火を噴く火山を「赤い火山」と呼ぶのなら、さしずめ川原毛地獄は「白い火山」でしょうか。
 聞くところによれば、明治時代以前は現在よりもはるかに噴気の勢いが強く、まさに地獄!!!!!といった様相だったそうです。

 川原毛地獄の硫黄や、山肌の白さについて、以下のような記述もあります。
 

  硫黄はをさをさ鷹の眼にもたぐひて、肥前國阿蘇の山より産るものに劣らざりきやいなや。
  硫黄はみごとな鷹の目にも似ており、肥前の国の阿蘇山から産出するものにも劣らないのではないか。

kawaragejigoku4.jpg

  また光明礬もいと多く出るといへり。
  また、ミョウバンも多く産出するという。

  なかむかしの事にや、此山硫黄火大に焼て土みな眞白にて……(後略)
  少し昔のことだが、この山は硫黄の大火に焼かれたことで土が真っ白になり……
  
kawaragejigoku3.jpg

 黄色い硫黄結晶のことを「鷹の目」と呼ぶそうです。そして遠く離れた阿蘇山と川原毛地獄が、江戸時代の書物において、「硫黄」というキーワードでつながりました。
 また、川原毛地獄の地面が真っ白な理由について、菅江真澄は「硫黄の火に焼かれた」からだと書いています。今日では、硫化水素の漂白作用ということで説明がされていますが、江戸時代においても、発想としては同じところをついています。ただ、表現としてはこちらのほうがずっと文学的ですね。

 ④「三関・須川の石と河」で登場した、酸っぱい川の原因となる「山から流れてくるお湯」とは、川原毛地獄のような山から湧く温水のことなのです。

 視線が増えれば、楽しみも増えます。
 地学の知識、歴史の知識、化学の知識……ジオの視線を培って、人と大地の物語に想いを馳せれば、もっともっと楽しさを、なにより感動を得られるのではないでしょうか。


 本日のブログはミレーがお送りしました。




「菅江真澄と歩く」シリーズ バックナンバー

①ジオサイト「院内銀山」より  「追憶の院内銀山」
②ジオサイト「山田」より     「突撃! 山田・松岡七不思議!」
③ジオサイト「稲川」より     「遥かなる稲庭うどん」
④ジオサイト「三関・須川」より  「三関・須川の石と河」
⑤ジオサイト「高松」より     「高松に燃える紅葉」
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湯沢市ジオパーク推進協議会事務局

Author:湯沢市ジオパーク推進協議会事務局
世界ジオパーク認定登録を目指して日々活動している「湯沢市ジオパーク推進協議会」事務局です。

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