湯沢市ジオパーク推進協議会は、秋田県湯沢市の「世界ジオパーク」認定登録に向けて、日々奮戦中です。
ゆざわジオパークのいろいろな情報や事務局の日々の感想をつづるブログです。

ゆざわの文化:東鳥海神社(半夏生の祈祷)

2013-07-04

 こんにちは。湯沢市ジオパーク推進協議会事務局のかわべぇです。
 本日は、東鳥海神社で半夏生に行われるご祈祷についてお伝えします。

 東鳥海神社は、湯沢市相川にある東鳥海山の頂上にある神社です。その神社で、半夏生(はんげしょう)の日に、祈祷が行われるということで取材させていただきました。
 半夏生は、季節をあらわす方法のひとつ「七十二候(しちじゅうにこう)」のひとつです。農家は、この日までに田植えを終えるという節目の日でした。

 そんな半夏生の日、朝8時半。わたしは、東鳥海神社の遥拝殿(ようはいでん)にうかがいました。遥拝殿というのは、ふだん行くことが困難な場所にある神社などを拝むため、用意される建物です。東鳥海神社は、東鳥海山の山頂にあり、実際に行って拝むことが難しいため、遥拝殿があります(ちなみに、山頂まで行くことは可能です。ただし、道が悪く時間もかかります)。
 遥拝殿に行くと、すでにご祈祷を受けている方がいらっしゃいました。大曲市角間川町からいらしたご夫婦で、以前は村で来ていたのですが、現在は個人の家でいらっしゃっているそうです。
 そうしている間に、次の方々がやってきました。大仙市神宮寺の方々、四名です。こちらの方々は、村の講中の代表者としてきているそうです。
祈祷のようす

 神宮寺の方々が祈祷を受けている様子を見学していたのですが……なにやら、外から耳慣れない音が聞こえてきます。誰かが低くうなるような音です。
 音の正体を探るべく、外に出てみると……。
音の正体

 音の正体は、なんとほら貝でした! しかもほら貝に加えて、「ジョヤサ、ジョヤサ」と掛け声をかけながら、なにか「おかしなもの」を運んできます。
エビスダワラ

 これは、「エビスダワラ」と呼ばれているものです。これを神社に奉納するのが、昔からの慣わしだそうです。このエビスダワラの奉納は、東鳥海神社だけで行われているものではありません。すでに奉納は行っていないそうですが、森嶽神社の拝殿のなかにも、以前奉納されたエビスダワラがあるのを、見たことがあります。
 この日、エビスダワラの奉納にやってきたのは、JA秋田ふるさと稲作部会平賀支部の方々です。
稲作部会の方々

 全部で14名でいらっしゃったそうです。「人数が多いなぁ」と思ったのですが……上には上がおりました。
樽見内の方々

 写真に写っているのは、横手市平鹿町樽見内の方々です。やはり、エビスダワラの奉納をされました。ちなみに総勢28名の団体でした。バスにエビスダワラともども乗り込んで、相川までやってきたそうです。
横手市大森のご夫婦

 最後に、横手市の大森からご夫婦がいらっしゃいました。
 今年、祈祷にいらっしゃったのは、合計50名の方々でした。

 さて、この半夏生の祈祷エビスダワラの奉納ですが、以前はかなりの数の方が祈祷にやってきていたそうです。昭和初期の講集団の名簿を拝見したのですが、湯沢市内・秋田県南はもとより、遠いところでは岩手県からもやってきたという記録が残っていました。
 やってきた人たちは、ほかの講中よりも一刻も早くエビスダワラを奉納したいと考えていたそうです。結果、おし合いへし合い大騒ぎだったと言います。エビスダワラが持ち上げられた結果、天井を突き破ったこともあったそうです。その跡が、いまも残っています。
天井の穴


 なぜ、人々は競ってエビスダワラを奉納したのでしょうか? それは、祈祷の際に渡される虫除けの札とも関係があります。
 この東鳥海神社の神様は、「ゴンゲンサン」と呼ばれ、豊作をつかさどる神様だとされています。主神は、ウケモチノカミで五穀豊穣をつかさどる神だとされています。エビスダワラを奉納するのは、このウケモチノカミの神威に期待しているためだと思われます。

 また、虫除けの札には、「東鳥海神社蝗除之札」と記されています。
蝗(いなご)除けの札

 蝗という文字は、「いなご」と読みます。佃煮にする、アレです。ご存じのとおり、稲作を生業とする方々にとって、もっとも恐ろしい害虫です。昔は、イナゴへの対策として、神仏の力や呪術的な方法が取られました。
 東鳥海神社の虫除けの札は、その方法のひとつです。もらってきた虫除けの札を、柳の枝に挟んで水口に立てることで、虫を追い払うことができると考えていたのです。
 この虫除けの札ですが、ゆざわ、ひいては秋田でのみ行われている習俗ではありません。以前、高知県の山村に行ったとき、同様の虫除けの札を立てていました。その山村では、とある修験系の寺院からもらってくるものだと言っていました。

 似たような習俗に、「虫送り」「虫祭り」というものがあります。これは、松明を持ち、鐘や太鼓を打ち鳴らしながら、村中の田を歩き回り、最後に村はずれまで送ります。
 わたしが聞いた限りですが、湯沢市内では森地域、小野・泉沢地域で行われていたそうです。ただし、どちらも現在は行われていません。泉沢の場合、お札をはさんだ柳の木を水口に立て、最後に雄物川に流していたとのことです。ちなみに、この「お札」というのはゴンゲンサン、つまり東鳥海神社のお札でした。

 ゆざわから遠く離れた、わたしの出身地、神奈川県でも虫送りは行われています。横浜市のある地域では、子供たちを主体とした虫送りが、いまも行われています。
 ただし、その地域は開発されたニュータウンです。当然、田畑は少ない。ですから、現在は文字通りの「虫除けるため」ではなく、「子どもたちの災いを祓うため」に行われています。ちなみに、この地域の虫送りは、戦後に一度途絶えたものを復活させたものです。地域の方々は、「いまは虫もいなくなったし、農薬もあるから、こういう風に変えたんだ」とおっしゃっていました。はたして、本当にそうなのでしょうか?

 もうひとつ、ゆざわのお隣・横手市で盛んに行われている行事をご紹介いたします。
 「カシマナガシ」という行事です。カシマナガシは、「鹿島人形」などと呼ばれる人形を船に乗せて川に流す行事です。人形を流すことによって、五穀豊穣と悪疫の退散を祈ります。流す川の多くは、村境に位置しているそうです。「災いを避けるために行う」というところが、横浜の虫送りに似ていると思いませんか?

 おそらく、今回紹介したいくつかの習俗は、根っこの部分でつながっているものだと思います。わたしが何度かお伝えしてきた巨大な藁人形・カシマサマも、そこに連なる習俗でしょう。これらの習俗は、最後には「稲作」につながるものだと考えられています。そして、稲作が盛んに行われていたこと、そして現在も行われていることは、最後には「ジオ」につながっていくものだと思います。そのうち、「農耕稲作文化をめぐるツアー」など、企画してみたいです。

 そんなわけで、本日は事務局員・かわべぇがお送りいたしました!

≪ゆざわの文化≫バックナンバー
「カシマサマ(鹿島様)」
「小町伝承――小野小町は鹿の子どもだった?」
「カシマサマの衣替え(若畑)」
「泉沢番楽」
「ジェンコマキ」
「雨乞い」
番外編「ヤクジンサマ(横手市・大雄藤巻)」
⑧「東鳥海神社(半夏生の祈祷)」
プロフィール

湯沢市ジオパーク推進協議会事務局

Author:湯沢市ジオパーク推進協議会事務局
世界ジオパーク認定登録を目指して日々活動している「湯沢市ジオパーク推進協議会」事務局です。

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