湯沢市ジオパーク推進協議会は、秋田県湯沢市の「世界ジオパーク」認定登録に向けて、日々奮戦中です。
ゆざわジオパークのいろいろな情報や事務局の日々の感想をつづるブログです。

夏の夜を涼しく過ごす:ゆざわの怪談

2013-08-03

こんにちは、湯沢市ジオパーク推進協議会事務局のかわべぇです。
毎日まいにち暑い日が続きますね。ゆざわは、ようやく梅雨明けといった感じです。
そんなわけで、非常に蒸し暑い日々が続いております。

さて、そんな暑い夜を少しでも涼しく過ごしていただきたい……そんなわけで、本日は「ゆざわの怪談」をお送りします。笑
怪談といっても、ストレートに怖い話というよりも、不思議な話も含めた少し怖いお話を集めてみました! より雰囲気を出すために、少しアレンジして口語調でお送りいたします。

第一話 蛇屋敷

 湯沢市のあるところに、旧湯沢市の一角に「蛇屋敷」と呼ばれる屋敷があったそうです。またの名を「弥蔵屋敷」。
 むかし蛇屋敷には、弥蔵という人が住んでいました。弥蔵は山で木を切って、暮らしていました。あるとき、弥蔵がいつものように山に木を切りに行くと、山苺のたくさん成っている場所を見つけました。
 「きょうは運が良い」
 弥蔵は被っていた笠を脱ぎ、山苺を入れて持って帰ることにしたそうです。ほっこり顔で山を下りました。
 しかし、山を下っていく途中、笠をのぞいてみると、たくさんあった苺がすべて無くなっています。周りを見回すと、一匹の蛇が弥蔵のことを見つめていました。
「こいつのせいだな!」
 そう思った弥蔵は、鉈で蛇を切りつけました。蛇の頭にかすった。血が噴き出す。
 すると、にわかに天気が崩れて雷鳴とどろきはじめた。さすがに少し不安になる。でも、弥蔵は頭を振った。
「俺はただ蛇を殺しただけだ……」
 それが違った。蛇は生きていた。頭からはまだ血が噴き出している。吹き出した血が、目や牙、口もとを赤くぬらしている。
 おどろいた弥蔵は、声にならない悲鳴を上げながら、山を降りていった。
「大丈夫、もう大丈夫……」
 そうつぶやく。ずぅっとつぶやいている。いつもあの蛇のことを考えている。赤い蛇の姿が、頭から離れない。
 そうしているうちに、弥蔵は病気になってしまった。精神的にやられてしまったんですね。
 ある時、人に小安温泉での湯治を勧められた。ずっと家に引きこもっているから、たまには温泉もいいかもしれない。そう考えて、小安温泉まで出かけていった。
 弥蔵が温泉に行くと、先客がいた。頭を丸めている。どうやら坊さんらしい。しかもかなりの大柄だ。
「失礼」
 一言声をかけてから、弥蔵は温泉に浸かった。目の前には、当然坊主がいる。弥蔵は坊主を見ているし、坊主も弥蔵を見ている。その坊主、おかしなことに頭に鉢巻をしていた。
 温泉に入ってまで鉢巻をしている……なにか理由があるんだろう。そう思った。
 だから何気なく、聞いてみたんだ。
「あの……その鉢巻、どうしたんですか?」
 坊主はぎょろりと弥蔵をにらんだ。弥蔵は、ふいに身体をふるわせた。
 この坊主とどこかであったことがある気がする。
「……わしはな、湯沢の方から来たんだが、先日いたずらをしての。その相手が乱暴者で鉈で切りつけられたのだ」
 ゆっくりと低い声で、そう語った。その間、弥蔵から少しも目を離さない。
 おかしい。
 弥蔵はなんだか恐ろしくなってきた。よく見れば、その坊主の目は嫌に赤い。
 まるで、血にまみれているかのように。
 いてもたってもいられなくなった弥蔵は、温泉を飛び出した。
「……!」
 後ろから何か声をかけられている気がする。でも振り返ることはできない。
 今もあの坊主が……頭から血を流した蛇の姿になって追いかけてくるかもしれない。
「蛇が……蛇が! 蛇がいたんだ!」
 弥蔵の病はさらに悪化して、まもなく亡くなった。家族にも不幸が続き、家も途絶えてしまった。
 その後、屋敷は人の手に渡ったが、何度立て替えても、蛇の鱗のような形が壁や柱に現れ、いつしか住むものも居なくなった。

(出典:『湯沢市史』791-792p)

第二話 さらわれたお婆さん

 ある時、二人のおばあさんが隣村を訪ねたそうです。何でも、隣村のある家に孫が生まれたんだとか。そのお祝いにいった。
 赤ん坊の顔を見て、お見舞いを兼ねたお祝いをした。事件はその帰り道に起こった。
 帰り道の途中、そのうちの一人が自分の田んぼが心配だから見に行くといって別れました。
 そのうち夜になりましたが、おばあさんは帰ってきません。村中総出で探しましたが、見つかりません。
「ばあさんは神隠しにあったんだ」
 そんな噂が、村のなかを駆け巡った。でも、いつまでたってもおばあさんは出てこない。自然とおばあさんがいなくなったという事件は忘れられていきました。
 次の年の春、ある男性が山にうどを採りにいきました。
 村から二つも三つも山を越えた山奥。原生林のなかを歩いていきました。
「……ん?」
 ひときわ高い木の上に、なにかが引っかかっているのが見えます。
 その人が目指すうどが生えるポイントは、まだ先。男の人は、その木に近づいていきます。
 どこからともなく、カラスの声が聞こえてくる。
 ……なんだか、嫌な予感がする。そっちに行っちゃ行けない。
 でも、彼が目指すうどは、この先にあります。
 男性は止まるにとまれず、木に近づいていきます。
 カラスの不気味な鳴き声が近くなる。
 ……だんだんとカラスが寄ってきている。
 カラスは木の上に引っかかっている、まあるい「何か」の近くに止まっている。
 カラスが近づいているんじゃない。違う。自分が近づいているんだ。
 だんだんとその「何か」が気になってきました。
 あんな高い木のうえに、誰が何を引っ掛けているのか。
 ……ついに木の下までやってきました。
 あとは顔を上げるだけ。それだけでアレが何かわかる。
「……っ!」
 男は、思い切って顔を上げました。
「ぎゃああああああぁぁ!」
 そして、叫び声を挙げました。頭上のカラスも、それに合わせて騒いでいる。
 彼が見たもの。それは、いなくなったおばあさんの頭だったのです。

(出典:『高松の伝説』50-51p)

第三話 死者の座る石

 ある場所に、大きな石があります。そこは川原毛地獄に通ずる道の途中にあり、腰かけて休むには手ごろな石だったそうです。昔、ある女の人が重い荷物を背負って歩いていました。あまりに疲れたので、その場所で一休みしていたそうです。そのうち、うとうとと眠ってしまった。
 寝ぼけ眼のうちに、なんだか周りがガヤガヤとしはじめました。薄目を開けて辺りをみてみても、誰もいません。ですが、声だけが聞こえます。
 何人かの人が何やら話しあっています。その中に聞き覚えのある声が混じっています。
「うちの嫁はよ、本当にろくに物も水も供えない」
 その言葉を聞いたとき、その人は身体を震わせました。
 その声は、亡くなった姑の声だったのです。
 つまり、「嫁」というのは、ここで休んでいる女の人のことだったのです。
 姑の言葉に、周りにいる人々は、口を揃えて批判の声をあびせます。
 女の人は、だんだん恐ろしくなってきました。
「うちのおばあちゃんは……たしかに亡くなっている。じゃあ、この人たちは……?」
 もしかしたら、全員亡くなった人なのではないか?
 そう考えると、心臓が早鐘を打ち、全身に嫌な汗をかきはじめました。
 おそろしくて、身動きひとつできません。
「だからね。あまりに腹立たしいから、子どもをちっと転ばせてきたんだ」
 姑の声がそう言いました。
 子ども……? 転ばせたというのは……。
 そんなことを頭の片隅に思いながらも、見つかってはいけないと思い、じいっとしていました。
 すると、いつの間にか、その声だけの人たちはどこかへ行ってしまいました。
 女の人は、大きく息をはき、全身の力を抜くことができました。
「いったい、今の人たちは……」
 落ち着き始めると、急にさっきの姑の言葉が気になってきました。
「子どもを転ばせた」
 女の人は、自分の子どもが心配になり、すぐさま家に帰りました。
 家に帰ってみると、本当に子どもが転んで怪我をしていたそうです。
 たいした怪我ではなかったのですが、それ以降、その女の人は姑をはじめとするご先祖様をきちんとお祀りするようになったそうです。

(出典:『高松の伝説』41-42p)

 いかがでしたでしょうか? 出典にあるお話では、味も素気もなかったので、多少膨らませたり凹ましたりしておりますが、ご容赦ください。

 さて、これらの怪談は、もともと昔話や伝説などと同じく、口承で伝えられてきたハナシです。口承文芸を類型化するときに、「世間話」という分類が用いられることがあります。世間話は、昔話や伝説と異なり、「事実」として語られます。
 怪談って、必ず「事実」として語られますよね。これは作り話などではなく「事実」である。
「これは友達のともだちから聞いた話なんだけどね……」
 友達のともだちという、奇妙なリアリティを持つ言葉によって、はじまる怪談。それは決して、お話の世界ではなく、自らの身に起こり得ることとして語られます。だから、おそろしい。
 ですが、「友達のともだち」というのは、どこまで辿っていっても見つけられない存在でもあります。ですから、怪談はやっぱりハナシなのだと思います。
 似たようなものに、「都市伝説」というものもありますが、どこまでもジオパークから離れていってしまうので、この辺りにしておきます。笑
(口承文芸としての怪談に興味のある方は、常光徹『学校の怪談 口承文芸の研究Ⅰ』、都市伝説なら、ジャン・ハロルド・ブルンヴァン『消えるヒッチハイカー』をお読みになると面白いかもしれません)

 夏の夜は、怪談で涼しく。これぞ究極のエコかもしれません。

 なんだか今日はうまくまとまった気がします! でも、あんまりジオパークに関係ない!笑
 ということで、本日の記事は事務局かわべぇがお送りいたしました。
プロフィール

湯沢市ジオパーク推進協議会事務局

Author:湯沢市ジオパーク推進協議会事務局
世界ジオパーク認定登録を目指して日々活動している「湯沢市ジオパーク推進協議会」事務局です。

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