今日は「県民防災の日」
2020-05-26
皆さん、こんにちは。
イトケンです。
今日は秋田県の「県民防災の日」です。
1983年の今日、秋田県沖を震源とする「日本海中部地震」が起きました。
この地震で発生した津波により、遠足に来ていた小学生や護岸工事の作業員などを含め多くの方々が犠牲になりました。
そのことを忘れず、県民の「防災・減災」の意識を高めるために5月26日を「県民防災の日」に定めています。
そこで今日は『自分が住んでいる地域にどんな危険が潜んでいるのか』を知るために、
ハザードマップを見てみたいと思います。
湯沢市の場合は、「湯沢市防災マップ」という名前で公開されており、市役所のホームページで見ることができます。

図1:湯沢市防災マップの表紙。中には災害への備えや心構えも記載してあります!
ゆざわは内陸であり、かつ市の総面積の8割以上が山地であるため、土砂災害が起こる可能性が高くなっています。
それは防災マップを見ると一目でわかります。
例えば、三関・須川地区を見てみましょう。

図2:三関・須川地区の防災マップの抜粋。警戒区域がたくさんありますね。
湯沢南中学校の東側に何やら赤い線がたくさんあります。
右上にある凡例を見てみると、この赤い線で囲まれた場所は「土石流・急傾斜・地すべり 警戒区域」になります。
その一部は赤く塗りつぶされており、「土石流・急傾斜 特別警戒区域」に指定されていることがわかります。
「警戒区域」と「特別警戒区域」の違いは国土交通省の「土砂災害防止法の概要」によると以下のようになります。
●土砂災害警戒区域
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、住民等の生命又は身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域であり、危険の周知、警戒避難体制の整備が行われます。
●土砂災害特別警戒区域
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に、建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる区域で、特定の開発行為に対する許可制、建築物の構造規制等が行われます
つまり、どちらの区域も土砂災害によって体に何らかのダメージが発生する可能性があり、
さらに特別警戒区域の場合は命を失う可能性すらあることになります。
こうした地域は市内のあちらこちらにあります。
もう少し南にも警戒区域がたくさん指定されていることがわかります。

図3:警戒区域がたくさんある一方、水はけがよく果樹栽培に適した土地がつくられます。
このあたりは今の季節だとサクランボ栽培が盛んですね。
例年6月中旬ごろには出荷が始まるので、個人的にはすごく楽しみです。
警戒区域と聞くとどうしてもマイナスのイメージを持ってしまいがちですが、
その特徴を上手に活かした例が、このサクランボ栽培なのです。
この三関・須川地区にある警戒区域は「扇状地」である場合がほとんどです。
緩やかな傾斜地が山地から平地に移る場所に見られ、山側を頂点として「扇状」に土砂が堆積しています。
この扇状地は粒子の粗い礫(れき)や砂を含んでいることが多く、水を通しやすい特徴があります。
これはコップに大きめの氷を入れたときの飲み物をイメージするとわかりやすいと思います。

図4:大きめの氷を入れたコップのイメージ。ストローで吸うと、簡単に飲むことができますが、氷が細かいと・・・。
粗い氷の間にある飲み物は移動しやすいので、ストローを使って簡単に飲むことができます。
しかし、細かい氷を入れた場合、がんばって吸わないと飲み物を飲めません。
このように粒子の粗いものの間にある水は移動しやすく、反対に粒子の細かいものの間にある水は移動しにくいのです。
そのため扇状地は水はけがよく果樹栽培に適した土地となります。
警戒区域と果樹栽培に適した土地というのは、まさに表裏一体。
大地の恩恵を上手に活用しつつ、その危険性を理解して一緒に暮らしていく必要があります。
皆さんの住んでいる場所や働いている場所はどうでしょうか。
県民防災の日をきっかけに、ご自分に関係のある場所の「歴史」を知ってみてはいかがでしょうか。
ではでは。
イトケン
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<参考>
・湯沢市役所のホームページ
(http://www.city-yuzawa.jp/bousaimap/3761)
・秋田大学のホームページ
(https://www.akita-u.ac.jp/honbu/general/eventa/item.cgi?pro&733)
・秋田地方気象台のホームページ
(https://www.jma-net.go.jp/akita/jishin/tyubu.htm)
・国土交通省の資料
(https://www.mlit.go.jp/river/sabo/sinpoupdf/gaiyou.pdf)