湯沢市ジオパーク推進協議会は、秋田県湯沢市の「世界ジオパーク」認定登録に向けて、日々奮戦中です。
ゆざわジオパークのいろいろな情報や事務局の日々の感想をつづるブログです。

かわら「げ」?、かわら「け」?

2019-08-21


皆さん、こんにちは。
イトケンです。

さて、いま業務の関係でゆざわジオパークの見どころの一つ、「川原毛地獄」について
文献をいろいろと調べています。

概要についてはジオサイトの説明をご覧いただくとして、今日ご紹介したいのは川原毛の「読み方」です。


いまは当然のように「かわらげ」と呼んでいますが、地名の由来をみると
本来は「かわらけ」と呼んでいたようなのです。

1965年(昭和40年)に発行された「湯沢市史」には次のような記載があります。

川原毛とは陶器、または無毛の意で一木一草も生じない土地をいう。

ここに書いてある陶器とは、「土器」と書いて「かわらけ」と呼ぶものです。


photo01_190821.jpg
写真1:
「土器(かわらけ)」のレプリカ。当協議会の職員が以前会議に出席した際に
記念品としてもらったものだそうです(画像の一部を加工しています)。


余談ですが、これを市役所のデスクに持ってきてもらい、写真を撮ったのですが、
その帰り道に衝撃で真っ二つに割れてしまったそうです・・・。
なので、この写真が結果として土器がきれいに写った最後のものになってしまいました・・・。
残念・・・。


これをどこかで見たことがある方もいらっしゃると思いますが、中世の日本で食器や祭事の際に、
使い捨ての容器として使われていました。

有名なのは、戦国時代を舞台としたドラマなどで武将が出陣する際に、戦勝を祈願して器に注がれたお酒を飲み干し、
その器を地面に投げ捨てて割る場面でしょうか。

あのときに投げ捨てられている器こそ、「かわらけ」なのです。

今では「投げ捨て」はしませんが、BBQや自宅での飲み会などのときに使う紙コップや紙皿に似た使われ方だと思います。

では、何時ごろから川原毛を「かわらげ」と呼ぶようになったかと言うと、正確に分かっておらず、
少なくとも江戸時代の初期頃には「かわらげ」と呼ばれていたと考えられます。

1993年(平成5年)に発行された「川原毛硫黄山」の中に次のような記述があります。

「梅津政景日記」(東京大学史料編纂所編纂『大日本古記録梅津政景日記』)の
元和8年(1622年)4月15日の記事に「かわらげの湯元にてゆわう堀申度と申者有之由・・・(後半略)」と記されている。


この記事は川原毛地獄で硫黄を採掘させてほしいとの許可申請があったことを記したものですが、
この時点ですでに「かわらげ」と呼ばれていることがうかがえます。

ちなみに原典である「梅津政景日記」は残念ながら読めてはいませんが、
1980年(昭和55年)に発行された「秋田県の地名」の「川原毛」の項にも
この日記の同じ個所が引用されているので、やはり当時は「かわらげ」と呼ばれていたのでしょう。

今から約1200年前に月窓(げっそう)和尚が霊通山前湯寺(れいつうざん・ぜんとうじ)を
この地に建立したことに端を発する川原毛地獄。

当時から「かわらげ」だったのか、実は「かわらけ」だったのか、それとも時代を経て
東北訛りが入ってしまったのか・・・。
たった一文字の違いですが、なかなかに興味深いと感じています。

ちなみに川原毛で長年にわたり硫黄鉱山を経営していた富谷家の
富谷松之助氏の著書「霊山"かわらげ"を探る」には以下のような記述があります。

また、どこでも、立木を山の"毛"と云い、山には立木が生えているのがあたりまえであるが、
ここだけは毛(草木)が一本も生えていない山であるから、(中略)所謂、"かわらげ"の語源発祥の地は、
ここの霊山であり、これは長い年代に亘って全国各地から登った白装束をした修験者や参詣人が、
広く云い伝えたためだろうとみている。


なかなかに大胆な説ですね。

川原毛の地と土器としてのかわらけ、そして無毛の意味のかわらけ。
果たしてどんな関係にあるのか気になるところです。

何かご存知のことがあれば、私までぜひ連絡をお願いします!

以上、イトケンでした。


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Author:湯沢市ジオパーク推進協議会事務局
世界ジオパーク認定登録を目指して日々活動している「湯沢市ジオパーク推進協議会」事務局です。

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